突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

Sardの定理 (続き)

昨日の記事で(ii)の主張の証明がわからなかったので休息がてら今日は一日中ダラダラ考えてた.(一応↓は昨日の記事)

Sardの定理

で取り敢えずそれなりの証明を考えてみた.


をMの座標近傍系, をNの座標近傍系, を可微分写像,AをMの零集合とする.

定義から ルベーグ零集合であることを言えばよい.


                        

より

                       

補題より ルベーグ零集合であるからルベーグ可測集合で,ルベーグ測度の正則性より任意の正数εに対して,あるR^nの開集合 があって

                    

とできる(mはルベーグ測度).これより

             ・・・(*)


ここから先は間違い

ここで少し変則的な方法(R^nの位相的性質をつかって)で零集合であることを示す.R^nはリンデレーフ空間であるから{O_β}のうち可算個の部分開被覆{O_n}が存在する.つまり

また

とできるから

                                 

の測度は任意の正数εで抑えられる.(ここがおかしい.O_βのとり方がεに依存するから抑えられない) これより(*)から

                

となりεは任意であったから主張が得られた.




やっと自分なりに納得する証明ができた.これでも穴があるかもしれないけど. ルベーグ測度の正則性とR^nの位相的性質がかなり効いている気が.

松島多様体だと次元が等しい時のSardの定理の証明しか載っていないので,せっかくだからと思いMilnorのTopology from the Differentiable Viewpoint (Princeton Landmarks in Mathematics) を取り寄せた.


Topology from the Differentiable Viewpoint (Princeton Landmarks in Mathematics)Topology from the Differentiable Viewpoint (Princeton Landmarks in Mathematics)
(1997/11/24)
John Willard Milnor

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これでSardの定理の証明を追ってみようかと.冬休みだし.駄目だったら試験明けくらいにまた落ち着いてやってみようかな.



追記:やっぱりこの証明はおかしいことに気づいた.Mにリンデレーフ性(もしくは同値な条件である第二可算公理)が必要な気がする.Mにリンデーレフ性があれば考えるV_βは可算個で良いので零集合であることが言えるからこの証明は正しいと思う.そもそもこの証明だと「ユークリッド空間の零集合の非可算和は零集合」ということが真であることになり間違えている.

松島多様体には自明とあるので考え違いをしている気がする.

気になったので

Twitterで流れてきたので


一次元(多分Rのこと)閉集合で内点をもたないルベーグ測度が正である集合は存在するか?


Baireのカテゴリー定理を使うんじゃないか?というつぶやきを見たけど一回生のレポート課題みたいだからもっと初等的に示せるのかも.

内点を持たないという条件をどう使えばいいものか・・・


追記:数学科の優秀な方が解いたので回答メモ(つぶやき引用)

[0,1]の有理数を順序づける。n番目の有理数に対しそれを中点とし、長さ2^(-n-1)の開区間Inを対応させる。A=[0,1]\setminus ∪Inとおく。可算和だから閉集合有理数の稠密性より内点を持たない。Aの測度はΣ2^(-n-1)<1であることより正。

なるほどー.この証明によれば任意のε>0に対して[0,1]の部分集合で問題の条件を満たし,その測度が1-εよりも大きくなるものが存在するのか.