cross variation の一意性(つづきのつづき)
cross variationの一意性はやはり言えることを,Doob-Meyer分解の証明(分解の一意性のところ)をみて思いました.
[証明]
はどちらもnatural,increasingな過程の差で表されるから,任意の有界右連続マルチンゲール にたいして
ただし, (有界変動)とした.また で左極限はほとんど確実なpathで存在する(*).[0,t]の任意の分割 で
として, となるものを考える. は有界であったから,ルベーグの優収束定理を(2回)用いれば
ところが
なので
よって あとはpathの連続性からindistinguishabilityを除いてAと<X,Y>は等しい.[証明終]
(*)の詳細はKaratzas-Shereveを参照してください.結局naturalという性質から一意性は出てくることがわかりました.2乗可積分連続マルチンゲールのときのcross variationの一意性ではまた別の証明がされていますが,連続単調増加関数はnaturalなので,上の議論からも一意性は出てくる気がします.わざわざ別証を付けるのは局所化の動機づけなのか,もしくは二次変分の性質を使いたかったからなのか,それとも上の証明が違うかのどれかだと思いました.