突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

Levy's Characterization の反例っぽいもの(反例ではない)

Exercise3.3.17
を3次元の0を出発するブラウン運動とし,

とおく.このとき,どの二つのペア も2次元のブラウン運動になるが, は3次元のブラウン運動にならないことを示せ.またこれが,Levy's Characterization Theoremに矛盾しない理由を説明せよ.つまり, は局所連続マルチンゲールであるが, は3次元のブラウン運動にならないのは矛盾でないのはなぜか.

[証明]
第1段
ブラウン運動であることを示す.そのために次の補題を用いる.(R.Durrett「Probability Theory and Examples」,4th-Edition,p302,303)
補題
ブラウン運動であることと,以下の3条件を満たすことは同値である.

(i) はガウス過程である.
(ii)
(iii) は確率1で連続.

この補題よりブラウン運動である.実際(i)を満たすことは に対して

上の式変形はXの値で分割して考えると得られる.また(ii)を満たすことは より従う.また(iii)は明らか.よってこの補題よりブラウン運動である.

第2段
が2次元のブラウン運動であることを示す. が2次元のブラウン運動であることは明らか. が2次元のブラウン運動であることを示す.そのためには が独立であることを示せばよい.それには任意のボレル集合A_1,A_2に対して

が成立することを言えばよいが,それは上と同様にXの値で場合分けすれば示せる.同様にして も2次元のブラウン運動である.

第3段
が3次元のブラウン運動でないことを示す.背理法による.ブラウン運動であると仮定する.このとき

・・・(1)

よって

一方 は0を出発するブラウン運動であるから, は独立.したがって

・・・(2)

よって(1),(2)式より

ブラウン運動であるとすると,

よって矛盾である.

第4段
Levy's Characterization Theoremに矛盾しない理由はフィルトレーションにある.つまり各過程が適合しているフィルトレーションに違いがあるので矛盾しない.[証明終]



長くなったので第4段についてはまた次の記事で書こうと思います.あとKaratzas&ShreveのBrownian Motion and Stochastic Calculusの本の問題は別のカテゴリ[KaratzasAndShreve]にすることにしました.