突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例2(M.Yor)

一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例(M.Yor)

上の記事で一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例を調べたのですが,からしゅれでは次のExerciseでまたこれと同じ種類の例を挙げているので,証明します.


Exercise3.3.37
Rを0を出発する2次元のベッセル過程とする. が局所連続マルチンゲールで

が成立することを示せ.また はマルチンゲールでないことも示せ.(一様可積分であることもわかる.)

[証明]
まず局所連続マルチンゲールであることを示す.伊藤の公式から

これより は局所連続マルチンゲールである.ただしBは1次元の標準ブラウン運動である.

を示す.α=0のときは明らか.0<α<2のときは

ただしn次元球の体積を用いて積分を評価した(一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例(M.Yor)参照).α<0のときは, として

これより

となる.次に一様可積分であることを示す.そのために任意の に対してL^p有界であることを示す.つまり

を示す.

よって

となる.これより一様可積分である.最後にマルチンゲールでないことを背理法を用いて示す.マルチンゲールであれば期待値が一定であるから

ただし,途中で を用いて評価した.tは任意の1以上の実数であったから,

ところが, より

よって矛盾である.これより, はマルチンゲールでない.