突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

可測写像が与えられたもとでの条件付き期待値

Definition

を確率空間,を可測空間とする. を可測写像 を実確率変数とし可積分とする.このとき


とすると, は上の符号付き測度となる.また (像測度) とすると, は に関して絶対連続となる.
よってRadon-Nykodim 導関数が存在し,それを と表す.これをY = y が与えられれたときのX の
条件付き期待値(conditional expectation of X given Y = y) という.

Proposition 1 とすると, αは可測で

が成立する.

証明 任意の に対して, となるBが存在する.このとき変数変換と,定義より

<証明終>

Proposition 2
Proposition 1.2. 可測写像を与えたもとでの条件付き期待値の性質として以下が成立する.
(1)
(2) を可積分な実確率変数,に対して
(3) ならば
(4) 可測写像を与えたもとでの条件付き期待値の単調収束定理が成立する.
(5) 可測写像を与えたもとでの条件付き期待値のFatouの補題が成立する.
(6) 可測写像を与えたもとでの条件付き期待値のルベーグ収束定理が成立する.
(7) 可測写像を与えたもとでの条件付き期待値のJensenの不等式が成立する.
(8) ,は独立とする.このとき
(9) を有界な可測関数, を実確率変数で可積分とする.このとき,

証明 Proposition1 や普通の条件付き期待値の性質の証明と同様. <証明終>

class DL

からしゅれに右連続非負値submartingaleはclass DLであるという主張があって,同様に右連続martingaleもclass DLとなることが言える.

証明
a>0を固定し,となるstopping timeの族をとする.定義よりが一様可積分であることを示せばよい.Jensenの不等式よりはsubmartingale. OSTより

可測なので,λ>0に対し

またチェビシェフの不等式より

よって積分の絶対連続性より

これよりは一様可積分.(証明終)



Xが発展的可測のとき可測だけど,からしゅれだとadaptedしか仮定していないのに大丈夫か?という疑問が起きた.けれど,右連続性からXはmeasurableで,さらにadaptedと右連続性から発展的可測がでるから,結局発展的可測を仮定しているのと同じことなので,問題なかった.というかもっと早くこの疑問を持つべきだった.あまり発展的可測は強い条件じゃないのかもしれない.

可分距離空間上のtightでない確率測度の例(つづき)

可分距離空間上のtightでない確率測度の例 ルベーグ外測度1,ルベーグ内測度0の集合の存在を認めたのですが,[0,1]の部分集合A,Bでdisjointかつともにルベーグ外測度が1であるようなルベーグ非可測集合の存在を教えていただきました.

詳しくは

ルベーグ非可測集合の例

を見ていただきたいと思います.

共変微分と平行移動

多様体Mの線形接続, (IはRの開区間)とする. を接空間 からへの写像で, に沿って平行移動したものとする.このとき に沿う共変微分

と表されることを示せ.という問題です.本によっては(野水,甘利など)平行移動から,上の式で曲線に沿う共変微分を定義しているみたいです.


[証明]

と置くと, は線形同型写像であるから の基底である. とすると (初期値)であるから

一方

よって証明が終わる.

可分距離空間上のtightでない確率測度の例

完備可分距離空間上では確率測度の族 がtightであることと,相対コンパクトであることは同値.けれども可分距離空間上の確率測度でtightでないものが存在する(よって相対コンパクトであるがtightでない例になっている).

この例はBillingsleyの Convergence of Probability Measures の章末問題として載っていた例です.

Convergence of Probability Measures (Wiley Series in Probability and Statistics)Convergence of Probability Measures (Wiley Series in Probability and Statistics)
(1999/07/30)
Patrick Billingsley

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まず [0,1] の部分集合 S をルベーグ外測度が1,ルベーグ内測度が0であるようなルベーグ非可測集合とする(存在は認める).この集合 S に [0,1] の相対位相を入れると,可分距離空間となる([0,1]の開基の元とSの共通部分から(あれば)一点とって集めた集合Aは可算集合でSで稠密).またルベーグ外測度 を S に制限したものを とおく.Pは外測度の性質を満たし,カラテオドリの意味で可測な集合全体 の上の測度となる.また明らかに,任意のルベーグ可測集合 E に対して は P可測集合である.さらにSのルベーグ外測度は1なので,PはSの上の確率測度となる.


ここで S の任意のコンパクト集合 K に対して P(K)=0 であることを示す(これよりPはtightでない S の上の確率測度となる).包含写像 は連続.よって i(K) は [0,1] のコンパクト集合.よって K は [0,1] のコンパクト集合.ここで 内測度の定義から

よって から .以上より P は tight ではない.



Billingsleyはさらに可分距離空間上の確率測度の族で,相対コンパクトかつ各確率測度はtightだが,族はtightでないものも構成していて,証明できたらまたブログに書こうと思います.

しかし自分でもいろいろ考えてみたけど,ルベーグ非可測集合とは・・・

多様体上の調和関数

Mをコンパクト,連結,向きづけられた境界付き可微分多様体とする. であるとする.M上の調和関数u,vが境界上で一致するときuとvはM上で一致する.

という主張の証明のメモ.

u-vを考えれば良いから,調和関数fで境界上で0となるものが,M上で恒等的に0になることを示せばよい. をMの体積要素とする.Stokesの定理から

ただし境界にはMから定まる向きを入れ,Nは外向きの単位ベクトルとし, は境界の体積要素とする.fは調和で境界上で0となるから

よって より .ゆえにfは定数関数(任意のベクトル場Xに対してXf=0より).仮定より境界上で0で,Mは連結であったからf=0となる.



似たような主張で「Mの境界が空であったら調和関数は定数に限る(Mは向き付可能でなくても良い)」というのが松島多様体にあった.そちらもgrad fが0となることを示すために という式をつかい,ストークスの定理から導いていた.細かいけど ではないだろうか.計算すると

よって

となるから

となる気がするのだけど・・・

X,Yは実確率変数とし,任意の実数aに対しP(X=a)=0,またXとYは独立で同分布に従うとする.このときP(X=Y)=0となる.

タイトルの主張は確率論のテストで必要だった主張です.テストの時は分かりませんでした.

ですが,零集合の非可算和は零集合とは限らないのでこれではうまくいかないです.

そこでFubiniの定理を使います.P^Xを像測度とするとき,XとYは独立であるから, であり,非負値可測関数に対してFubiniの定理がなりたつから

となる.

であるから

となる.


Sardの定理の証明を読んでいて,R^nの部分集合Aが,任意の超平面{p}×R^{n-1}と共通部分をとったとき,そのn-1次元ルベーグ測度が0ならば,Aのn次元ルベーグ測度が0 というのをFubiniの定理から示していて,それのおかげでやっと解決しました.

どうでもいいのですがミルナーの本は添字が見づらいです.