可分距離空間上のtightでない確率測度の例
完備可分距離空間上では確率測度の族 がtightであることと,相対コンパクトであることは同値.けれども可分距離空間上の確率測度でtightでないものが存在する(よって相対コンパクトであるがtightでない例になっている).
この例はBillingsleyの Convergence of Probability Measures の章末問題として載っていた例です.
Convergence of Probability Measures (Wiley Series in Probability and Statistics) (1999/07/30) Patrick Billingsley 商品詳細を見る |
まず [0,1] の部分集合 S をルベーグ外測度が1,ルベーグ内測度が0であるようなルベーグ非可測集合とする(存在は認める).この集合 S に [0,1] の相対位相を入れると,可分距離空間となる([0,1]の開基の元とSの共通部分から(あれば)一点とって集めた集合Aは可算集合でSで稠密).またルベーグ外測度 を S に制限したものを とおく.Pは外測度の性質を満たし,カラテオドリの意味で可測な集合全体 の上の測度となる.また明らかに,任意のルベーグ可測集合 E に対して は P可測集合である.さらにSのルベーグ外測度は1なので,PはSの上の確率測度となる.
ここで S の任意のコンパクト集合 K に対して P(K)=0 であることを示す(これよりPはtightでない S の上の確率測度となる).包含写像 は連続.よって i(K) は [0,1] のコンパクト集合.よって K は [0,1] のコンパクト集合.ここで 内測度の定義から
Billingsleyはさらに可分距離空間上の確率測度の族で,相対コンパクトかつ各確率測度はtightだが,族はtightでないものも構成していて,証明できたらまたブログに書こうと思います.
しかし自分でもいろいろ考えてみたけど,ルベーグ非可測集合とは・・・