突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

Problem5.3.13

Problem5.3.13
はd×d行列で,任意の(t,x)に対して正則であるとする.また は一様に有界であり, の最小固有値は(t,x)によらずに下から正の値で抑えられているとする.さらに

は初期分布 の弱解を持つとする.このとき確率微分方程式

は初期分布 の弱解を持つことを示せ.

[証明]
まず が(t,x)によらずに一様に上から抑えられることを示す. 固有ベクトルを正規直交基底として選び とし ,対応する固有値 とする.ただしλは(t,x)によらない正の定数である.このとき,

となるから

.

これより

の初期分布 の弱解を とすれば

これよりNovikovの条件からGirsanovの定理を用いて

の下でブラウン運動となる.よって

・・・(※)

となり,

は初期分布 の弱解となる.[証明終]

(※)の等号は -a.s.で成立します.考えている確率空間が違いますが成立します(Karatzas and Shreve Problem3.5.6)

Exercise3.5.11(Robins&Siegmund(1973))

Exercise3.5.11
ν>0, c>1 に対して次のような -stopping time を定義する.

このとき

[証明]

よって . また

より

・・・(1)

あとは であることを示せば十分である.なぜならばこれが成立すればWaldの恒等式から

となり,(1)の両辺の期待値をとって整理すれば

を得るからである.実際計算してみると

となり,証明が終わる.[証明終]


最後のR_cの可積分性を示すのに苦労しました.

Problem3.5.7

Problem3.5.7
を一次元のブラウン運動とする.ただしフィルとレーションはWを可測にする最小のσ加法族とする.Tを -stopping time でかつ, を満たすものとする.このときWaldの恒等式

が成立することと,

が成立することは同地である.ここで確率測度 として

として定義したものを に一意的に拡張した測度である(Karatzas and Shreve, Corollary 3.5.2参照).

このことから特に なるものに対して

は上の条件を満たす.(Novikov conditionの証明に用いられる(Proposition 3.5.12))


[証明]
Optional Sampling Theoremから

よって単調収束定理から

特に, なら なので のもとで,ブラウン運動になる(Girsanovの定理)ので

[証明終]

Exercise2.8.4

Exercise2.8.4
とするとき,

となることを,マルチンゲール とOptional Sampling Theoremを用いて示せ.

[証明]
まず大数の強法則から

さらにOSTから

ここで よりルベーグの収束定理から

また単調収束定理から

以上より

となり結論を得る.[証明終]


T_bの分布がわかっているのでそこから計算しようとしたら詰まってしまいました.

Xを時間に関して一様でないマルコフ過程とするとき,(t,X_t)は時間に関して一様なマルコフ過程となる.

ChapterIII Exercise(1.11) (Revuz-Yor)
Xが時間に関して一様でないE値マルコフ過程とするとき,(t,X_t)は時間に関して一様なR_+×E値マルコフ過程となる(これを"time-space" processと呼ぶ)ことを示せ. またこのとき,推移関数(transition function)を書き下せ.

[証明]
Xは時間に関して一様でないマルコフ過程なので,あるフィルター付き確率空間 で Xは に適合し,任意の有界な非負値可測関数 f, , 推移関数

が成立している.初期測度を とする.Thorem(1,4)[Revuz-Yor, p81]より,任意の と非負値有界可測関数 f_i に対して

が成立している.ここで 上の確率測度を次のように定義する. に対して

つまり, とする.このとき,R_{t,s} は時間に関して一様である.つまり, が成立する. とすると,Fubiniの定理より は推移関数となる.また 任意の と非負値有界可測関数 f_i, g_i に対して

となることもFubiniの定理から分かる. 可測関数を単関数近似して,一般の有界非負値可測関数について上と同じ等式を得るので,再びThorem(1,4)[Revuz-Yor, p81]より(t,X_t)は時間に関して一様なマルコフ過程となる.[証明終]


少し混乱してR_{s,t}を定義するのに苦労しました.

LCH,second countableな空間の点を分離する非負値C_0関数列

主張
Eを局所コンパクトハウスドルフ(以下LCHと略す)かつ第2可算公理を満たす空間とし, をE上の非負値連続関数で無限遠点で消える関数全体とする.このとき関数列 で任意の相異なるEの2点x,yに対してあるf_nがあってf_n(x)≠f_n(y)となるものが存在する.

補題
Eが主張の条件を満たすとき,Eの任意の開集合Oはσコンパクトである.

[補題の証明]
次の事実を用いる.

事実
XがLCHであり,K⊂U⊂XでKはコンパクト,Uは開集合であるとき,相対コンパクトな開集合Vが存在して となる.(Folland, 猪狩参照)

これから任意のx∈Oに対してある開近傍V_xが存在して となる. をEの可算開基とすると, となるものが存在する.従って となる.以上より は可算であるから,Oはσコンパクトである.[補題証明終]

[主張の証明]
をEの可算開基とし, とする.各O_nは上の補題からσコンパクトであるから

となる.一の分割から,ある関数

となるものが存在する. が主張にある関数列の条件を満たすことはEがハウスドルフで,開基の元で2点を分離できることから明らか.[証明終]

Yorの本だと証明のなかでこれを使うのですが,主張だけ書いてあって証明はなかったので自分で付けてみました.少し回りくどい気もします.