突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

ベクトル束に同伴する主ファイバー束の位相

をn次元可微分多様体 をr次元ベクトル束 ( はファイバー)とし,

とする.また を局所座標近傍系, に対し とする. を局所的切断とする.つまり 局所標構場とするとき, ( は標準基底)とする.ここで

とすると,全単射となる.

Proposition1
の部分集合 が開集合であることを,

と定義する.開集合全体を とすると, は開集合系の公理を満たす.

証明
任意のαに対して

より とすると,

より とすると

よって .[証明終]

Propositon2
この位相で は連続である.

証明
Mの任意の開集合Vと任意のαに対して

.したがって連続.[証明終]

Propositon3
この位相で は同相である.

証明
位相の定義より明らか.[証明終]

Propositon4
ハウスドルフ空間である.

証明
の相異なる二点 をとる. のときは多様体ハウスドルフ空間であることから,開集合で分離される.のときは が同相で,ハウスドルフ空間であるから開集合で分離される.[証明終]

Propositon5
のとき,

微分可能である.

証明
ベクトル束の変換関数が微分可能であることから従う.[証明終]


以上のPropositionより,ベクトル束Eに同伴するファイバー束Pは 多様体である.

共変微分と平行移動

多様体Mの線形接続, (IはRの開区間)とする. を接空間 からへの写像で, に沿って平行移動したものとする.このとき に沿う共変微分

と表されることを示せ.という問題です.本によっては(野水,甘利など)平行移動から,上の式で曲線に沿う共変微分を定義しているみたいです.


[証明]

と置くと, は線形同型写像であるから の基底である. とすると (初期値)であるから

一方

よって証明が終わる.

多様体上の調和関数

Mをコンパクト,連結,向きづけられた境界付き可微分多様体とする. であるとする.M上の調和関数u,vが境界上で一致するときuとvはM上で一致する.

という主張の証明のメモ.

u-vを考えれば良いから,調和関数fで境界上で0となるものが,M上で恒等的に0になることを示せばよい. をMの体積要素とする.Stokesの定理から

ただし境界にはMから定まる向きを入れ,Nは外向きの単位ベクトルとし, は境界の体積要素とする.fは調和で境界上で0となるから

よって より .ゆえにfは定数関数(任意のベクトル場Xに対してXf=0より).仮定より境界上で0で,Mは連結であったからf=0となる.



似たような主張で「Mの境界が空であったら調和関数は定数に限る(Mは向き付可能でなくても良い)」というのが松島多様体にあった.そちらもgrad fが0となることを示すために という式をつかい,ストークスの定理から導いていた.細かいけど ではないだろうか.計算すると

よって

となるから

となる気がするのだけど・・・

実射影多様体のドラーム・コホモロジー

n次元実射影多様体 のドラーム・コホモロジーを求めてみた.



まず の対せき点を同一視したものとみなし, を商写像とする.商写像は連続であり, は連結コンパクトであるから は連結コンパクトである.これより0次元ドラーム・コホモロジー群は となる.



つぎに のときのp次元ドラーム・コホモロジーを求める.


として



は明らか.閉形式 とすると であり, より となる(引戻しと外微分が可換であることから従う).また であったから, となる.

以上をまとめると

よって

また

は単射であるから

つまり となる.




最後にn次元のドラーム・コホモロジー群を求める.これはドラームの定理から,Mを連結でコンパクトなn次元多様体としたとき

従って

local flow

リー群M上の左不変ベクトル場をXとする.,Xの生成するlocal flowを とする.このときL_gとlocal flow は可換,つまり

が成立する.


感覚的には明らかな気がするんだけどわからなかったので調べた. (単位元の近傍のlocal flowに対応させる)がgの近傍のlocal flowになってることを示す.


となるから,結局gの近傍のlocal flow は となる.これより

となり を得る.

反例?

松島多様体で自明とあった補題.(前の記事参照→ Sardの定理 (続き) )


反例らしきものが出来たので.


まず多様体として というものを考える.ただし には通常の位相をいれ, に離散位相を入れたものとし,多様体は直積位相をいれたものとする.

座標近傍系 は以下のように取る.


このとき はHausdorff空間で(Hausdorff空間の直積はHausdorff空間になる),座標変換はRからRへの恒等写像のある開集合への制限であるから,これは1次元 多様体となる.

ここで写像  とする.これは多様体間の 写像である.

とすると,Aは の測度0の集合であるが, でこれは測度0でない.よってこれが反例である.


なんか穴があるかもしれないけど,第二可算公理がないとやはりなんかダメな気がする.

臨界点

写像度の話を読んでいたら臨界点の集合が閉集合であることの証明を思いついたのでメモ.



M,Nを可微分多様体としそれぞれ次元をm,nとする.可微分写像f:M→Nとする.Mの正則点全体の集合が開集合であることを示せばよい.

m < nなら任意のMの点は臨界点であるから正則点全体は空集合であるから開である.

m >= nのとき.Mの任意の正則点xに対してxを含むあるMの座標近傍 とf(x)を含む があって

ただしDfは


を(i,j)成分にもつn×m行列である.rankがnなので が正則であるとしてよい.この行列式はR^mからRへの連続関数であるから の十分小さい近傍で0でない.つまりこの近傍上で が成立している.これより正則点全体の集合をRとすれば,Rの任意の点は内点である.従ってRは開集合である.