突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例(M.Yor)

Exercise3.3.36
を0を出発するd(≧3)次元ベッセル過程とする.

(i) 局所マルチンゲールであり,
(ii) に対して (従って一様可積分)を満たし,
(iii) マルチンゲールでない

ことを示せ.

[証明]
(i)Rが有界な範囲で止めて伊藤の公式を用いると有界変動の項が消えるので局所連続マルチンゲールである.

(ii) Mは非負であるからフビニの定理より

ここで

となる.ただし半径rのd次元球の体積は であることを用いた.これより

ただし であることを用いた.従って

を得る.

(iii) 背理法による.Mがマルチンゲールであるとする.(ii)より一様可積分であるから が存在して,かつ はマルチンゲールであり, が成立する.ところがd≧3のとき (KaratzasAndShreve,Problem3.3.24) なので .従って

ところが は非負でかつ より .これは矛盾である.[証明終]