突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例2(M.Yor)

一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例(M.Yor)上の記事で一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例を調べたのですが,からしゅれでは次のExerciseでまたこれと同じ種類の例を挙げているので,証明…

exponential supermartingale

Problem3.2.28 をstandard Brownian motion とし をmeasurable,adaptedでを満たす確率過程とする.つまり確率積分は定義できるものとする.このときと定義する. は優マルチンゲールであることを示せ.また が単過程のときマルチンゲールであることを示せ.…

モーメント母関数の条件付き期待値

次の記事でKaratzasAndShreveのProblem3.2.28の証明をしたいと思いますが,そこで使う補題を示しておこうと思います.主張 を確率空間とし, を の部分σ加法族とする. また をほとんど確実に有界な 可測関数とし, を平均 0 分散 t の正規分布に従う と独立…

一様可積分かつ局所連続マルチンゲールであるがマルチンゲールでない例(M.Yor)

Exercise3.3.36 を0を出発するd(≧3)次元ベッセル過程とする. は(i) 局所マルチンゲールであり, (ii) に対して (従って一様可積分)を満たし, (iii) マルチンゲールでないことを示せ.[証明] (i)Rが有界な範囲で止めて伊藤の公式を用いると有界変動の項が消…

Levy's Characterization の反例っぽいもの(反例ではない)

Exercise3.3.17 を3次元の0を出発するブラウン運動とし,とおく.このとき,どの二つのペア も2次元のブラウン運動になるが, は3次元のブラウン運動にならないことを示せ.またこれが,Levy's Characterization Theoremに矛盾しない理由を説明せよ.つまり…

cross variation の一意性(つづきのつづき)

cross variation の一意性(つづき)cross variationの一意性はやはり言えることを,Doob-Meyer分解の証明(分解の一意性のところ)をみて思いました.[証明] はどちらもnatural,increasingな過程の差で表されるから,任意の有界右連続マルチンゲール にたいして…

cross variation の一意性(つづき)

cross variation の一意性 で書いた証明は間違っていることに気づきました.<X>+2A+<Y>がincreasing であることを言うときにcross variation の全変動を抑える不等式は,間違えでした.とりあえず調べてみるとIkeda-Watanabe(Stochastic Differential Eq…

cross variation の一意性

主張 (2乗可積分マルチンゲールでかつ)とする.このとき がマルチンゲールとなり,しかも という分解を持つものはindistinguishabilityを除いて一意である.ただしとする. 証明 をX,Yの二次変分過程とする. がマルチンゲールであるから,もマルチンゲール…

確率積分における部分積分の公式

Problem3.3.12, を連続セミマルチンゲールとし,とする.ただし,M,Nは連続局所マルチンゲール,B,Cは適合した連続で有界変動な過程とする.また とする.このとき以下のような部分積分の公式が成立する.[証明] , とし, とする.このとき伊藤の公式より同…

pathが右(左)連続でadaptedならprogressively measurable

一度証明を書いておこうかと思います.主張 を実数に値を取る,右(左)連続で -adapted な過程とする.このとき過程Xは発展的可測である.[証明] 右連続の場合のみ示す.左連続の場合も同様. を以下のように定義する. は に各点収束する.実際 は右連続であ…

マルコフ過程で発展的可測であるが,強マルコフ過程でない例

からしゅれにも参照の本が挙げられていたけれど,ぐぐったら出てきたので紹介を.The Strong Markov Property and Martingale Problemsこの関数fを見つけてきたのはすごいと思いました.

ベクトル束に同伴する主ファイバー束の位相

をn次元可微分多様体, をr次元ベクトル束, ( はファイバー)とし,とする.また を局所座標近傍系, に対し とする. を局所的切断とする.つまり 局所標構場とするとき, ( は標準基底)とする.ここでとすると,全単射となる.Proposition1 の部分集合 が…

可測写像が与えられたもとでの条件付き期待値

Definition を確率空間,を可測空間とする. を可測写像, を実確率変数とし可積分とする.このとき  とすると, は上の符号付き測度となる.また (像測度) とすると, は に関して絶対連続となる. よってRadon-Nykodim 導関数が存在し,それを と表…

class DL

からしゅれに右連続非負値submartingaleはclass DLであるという主張があって,同様に右連続martingaleもclass DLとなることが言える.証明 a>0を固定し,となるstopping timeの族をとする.定義よりが一様可積分であることを示せばよい.Jensenの不等式より…

可分距離空間上のtightでない確率測度の例(つづき)

可分距離空間上のtightでない確率測度の例 でルベーグ外測度1,ルベーグ内測度0の集合の存在を認めたのですが,[0,1]の部分集合A,Bでdisjointかつともにルベーグ外測度が1であるようなルベーグ非可測集合の存在を教えていただきました.詳しくはルベーグ非可…

共変微分と平行移動

を多様体Mの線形接続, (IはRの開区間)とする. を接空間 からへの写像で, は を に沿って平行移動したものとする.このとき に沿う共変微分はと表されることを示せ.という問題です.本によっては(野水,甘利など)平行移動から,上の式で曲線に沿う共変微…

可分距離空間上のtightでない確率測度の例

完備可分距離空間上では確率測度の族 がtightであることと,相対コンパクトであることは同値.けれども可分距離空間上の確率測度でtightでないものが存在する(よって相対コンパクトであるがtightでない例になっている).この例はBillingsleyの Convergence o…

多様体上の調和関数

Mをコンパクト,連結,向きづけられた境界付き可微分多様体とする. であるとする.M上の調和関数u,vが境界上で一致するときuとvはM上で一致する.という主張の証明のメモ.u-vを考えれば良いから,調和関数fで境界上で0となるものが,M上で恒等的に0になる…

X,Yは実確率変数とし,任意の実数aに対しP(X=a)=0,またXとYは独立で同分布に従うとする.このときP(X=Y)=0となる.

タイトルの主張は確率論のテストで必要だった主張です.テストの時は分かりませんでした. ですが,零集合の非可算和は零集合とは限らないのでこれではうまくいかないです.そこでFubiniの定理を使います.P^Xを像測度とするとき,XとYは独立であるから, で…

fully T_4 ⇒ T_4

fully T_4 ⇒ T_4 の証明を思いついたのでメモ. (fully T_4 の定義は任意の開被覆に対して open star refinementが存在する.)対遇をとって T_4 でない ⇒ fully T_4 でない ことを示す. T_4でないとするとある互いに素な閉集合F_1,F_2があって,F_1,F_2を含…

からしゅれProblem4.2

からしゅれのProblem4.2でが本当に-可測なのか?というのが今日のゼミで話合いになった.ゼミで解決した方法よりも簡単な方法を発見したっぽいので書いておきます. を時刻tでの射影とする. の定義より は 可測関数.よって極限関数であるも -可測関数であ…

Scheffe's Lemma

David Williamsの『Probability with martingales』という本(下のやつ)のChapter5にあるScheffeの補題(5.10)のところにあるExerciseの証明のメモです. Probability with Martingales (Cambridge Mathematical Textbooks)(1991/02/14)David Williams商品詳細…

Skorokhod representation

Fは分布関数の条件を満たすとき,Fはある確率変数の分布関数になっているという定理の証明ででてくる という確率変数が左連続なのか?というのを友だちと一緒に考えた. まずは定義から明らか.これの対偶をとって これより をとる. と仮定するとが任意のn…

実射影多様体のドラーム・コホモロジー

n次元実射影多様体 のドラーム・コホモロジーを求めてみた. まず を の対せき点を同一視したものとみなし, を商写像とする.商写像は連続であり, は連結コンパクトであるから は連結コンパクトである.これより0次元ドラーム・コホモロジー群は となる. …

a.s.収束と位相

Durrettの本にSince there is a sequence of random variables that converges in probability but not a.s. , it follows that a.s. convergence does not come from a metric, or even from a topology.とあった. 確率論の授業でも紹介されてた主張で,ど…

local flow

リー群M上の左不変ベクトル場をXとする.,Xの生成するlocal flowを とする.このときL_gとlocal flow は可換,つまりが成立する. 感覚的には明らかな気がするんだけどわからなかったので調べた. (単位元の近傍のlocal flowに対応させる)がgの近傍のlocal …

反例?

松島多様体で自明とあった補題.(前の記事参照→ Sardの定理 (続き) ) 反例らしきものが出来たので. まず多様体として というものを考える.ただし には通常の位相をいれ, は に離散位相を入れたものとし,多様体は直積位相をいれたものとする.座標近傍系 …

臨界点

写像度の話を読んでいたら臨界点の集合が閉集合であることの証明を思いついたのでメモ. M,Nを可微分多様体としそれぞれ次元をm,nとする.可微分写像f:M→Nとする.Mの正則点全体の集合が開集合であることを示せばよい.m 空集合であるから開である.m >= nの…

多様体の境界

今履修している幾何学の授業の演習問題で「境界付き多様体の境界の定義が局所座標によらないことを示せ」というのがあって,位相幾何の本見たら何やら難しいことが書いてあって萎えてたんだけどもっと簡単に示せることが調べたら分かった.境界の定義は可微分…

Riemann測度

というのがあるらしい.具体的にはRiemann多様体M上のコンパクトな台を持つ関数全体から,Rへの線形汎関数 を定義してRieszの表現定理から多様体上にRadon測度を構成できるらしい.この測度空間 に置いて をMの体積と呼ぶらしい.特にコンパクトで向き付可能…