突然終わるかもしれないブログ

確率や統計の内容について記事を書く予定です.

Exercise5.2.27

Exercise5.2.27
次の1次元確率微分方程式の解を陽に求めよ.

ただし,Wは1次元ブラウン運動とする.

[解]

とすると,この確率微分方程式

の解となる.σ(x)は2階連続微分可能で1階微分,2階微分ともにR上で有界である.b(x)も同様であるから,特にLipschitz連続である.従ってKaratzasShreve Proposition5.2.21より,次の常微分方程式を解くことで上の確率微分方程式の解を得ることができる.

ただし,

これを解いて

以上より解は

となる.[終]


ある種の確率微分方程式常微分方程式を解くことで解を得ることができるという話題でした.上の場合f(x,y)がxによらないので楽でした.これがxによると常微分方程式を陽に解くことができないので,解析解は出ないように思います.

局所コンパクトハウスドルフ空間上では,ある連続関数の列でG-δコンパクト集合の定義関数に各点収束するものが存在する.

主張
局所コンパクトハウスドルフ(以下LCHとする)X上では,ある連続関数の列でG-δコンパクト集合Kの定義関数に各点収束するものが存在する.

[証明]
次の事実を用いる.

事実
LCHのコンパクト集合Kと開集合OでK⊂Oならば,コンパクト台をもつ実数値連続関数で 0≦u(x)≦1,u(x)=1 (x∈K),supp(u)⊂O となるものが存在する. (猪狩「実解析入門」6章などを参照)

とする.上の事実から各nに対してコンパクト台をもつ連続関数の列

となるものが存在する.このとき

となる. は明らか. とする.このときあるnがあって

となる.実際任意のnで とすると, となり矛盾.このnにたいして,

従って .[証明終]


さらにXが第二可算公理を満たすとコンパクトG_δ集合を含む最小のσ加法族はボレル集合族に一致します.

Exercise5.2.17(Ito-Watanabe(1978))

Exercise5.2.17
Wを標準ブラウン運動とする.以下の確率微分方程式

は以下のような非可算無限個の強解が存在することを示せ.

ただし, とする.

[証明]
がargument化したfiltration(からしゅれp285)に適合するのは明らか.また初期条件は

であり,さらに

より

またはstopping timeでほとんど確実に有界である. であり, は連続マルチンゲールであるから伊藤の公式より

ここで

であるから

となる.実際 とすれば

より

また

であり,上と同じ議論から

さらに國田-渡辺の不等式から

以上より

[証明終]



強解の一意性のうちdtの方の係数が強解の一意性の十分条件を満たさないと反例があるという話題でした.

Problem3.3.23

Problem3.3.23
をd(≧3)次元のr(>0)を出発するベッセル過程とする. とするとき,

となることを示せ.つまりYはベータ分布に従う.

[証明]
伊藤の公式より, は局所連続マルチンゲールである.従ってあるstopping timeの列 がマルチンゲールとなり, となるものが存在する. とすると,これらはstopping timeで, となる.

で, , より条件付き期待値のルベーグの収束定理より,

さらに として

整理して

を得る.[証明終]

d(≧3)次元ベッセル過程はt→∞でほとんど確実に無限大に発散する

Problem3.3.24
をr(≧0)を出発するd(≧3)次元ベッセル過程とする.このとき

が成立することを示せ.

証明
伊藤の公式から は非負値局所連続マルチンゲールである.よって連続な優マルチンゲールであるから が存在する.重複対数の法則より .よって となる.これより となるから, [証明終]

Exercise(3.12),Chapter2(Revuz, Yor)続き

Exercise(3.12),Chapter2(Revuz, Yor)

[続き]
(2) として とおいて(1)から

つまり

となる. として結論を得る.

(3) とすれば, より となる.(1)の結果から

つまり

となる.

(4) がマルチンゲールであることはすぐにわかる. であることを示す.非負のマルチンゲールであるから, が存在する.Fatouの補題から

となり である.よって(1)より となり,結論を得る.[証明終]




Revuz and YorのContinuous Martingales and Brownian Motionという本の問題でした.この問題を使って3次元以上のベッセル過程で0が非再帰的であることが示せるそうなので考えています.今後もこの本の問題を解くかわかりませんが,この本の問題のカテゴリはRevuzAndYorにしておきます.

Exercise(3.12),Chapter2(Revuz, Yor)

Exercise(3.12),Chapter2(Revuz, Yor)
Mを正の値を取る連続マルチンゲールとし, とする.また とおく.
 
(1) に対して となることを示せ.

(2) より一般に が 正の値を取る 可測な確率変数であるとき であることを示せ.

(3) B を を出発する1次元のブラウン運動であるとする. とするとき, の分布を求めよ.

(4) B を標準ブラウン運動であるとする. を用いて がパラメータ の指数分布に従うことを示せ.

[証明]
(1) とすると,これはstopping timeでありMはマルチンゲールであるから, もマルチンゲールである.よって となる.ここで

であるから条件付き期待値のルベーグの収束定理より

となる.一方

となり,

となる.2つ目の等式は であることと条件付き期待値のルベーグの収束定理から従う.以上より

よって

となる.ここで場合分けをする.まず のときは より

よって .それ以外のときは

より となる.以上あわせて

[(1)の証明終][次の記事に続きます]